マンションより安く歴史的建造物が買える!?
いまや観光地・小樽のシンボルともなっている歴史的建造物。その代表的建物のひとつ、旧小樽商工会議所が価格2500万円で売りに出されている。
かつて「北のウォール街」と呼ばれた銀行街、現在の色内町界隈には、日本銀行旧小樽支店(小樽市指定有形文化財)をはじめ旧日本郵船(株)小樽支店(国指定重要文化財)など多くの歴史的建造物が軒を連ねている。これら明治から昭和初期にかけての建物は、代表的な近代建築として歴史や文化を今に伝え、小樽らしい街並みをつくり出している。
小樽市では、1983(昭和58)年に「小樽市歴史的建造物及び景観地区保全条例」を制定し、31棟の「歴史的建造物」を指定した。さらに1992(平成4)年には、総合的な都市景観の保全を図るために「小樽の歴史と自然を生かしたまちづくり景観条例」を制定。「小樽市歴史的建造物実態調査委員会」が、建築の歴史上貴重なものや地域の歴史的背景から重要なものを考慮して選択し、最終的に保全すべき対象を「小樽市登録歴史的建造物」として登録。さらに所有者の同意を得た対象を「小樽市指定歴史的建造物」と定めている。
その「小樽市指定歴史的建造物」は現在71棟に上るが、そのうち4棟以外は店舗などの商業施設として活用されている。その未利用の建設物のひとつ、旧小樽商工会議所が売りに出されている。
この建物は昭和8年(1933)年、色内1丁目6番32号に建設。鉄筋コンクリート造3階建で、昭和60(1985)年7月23日、第10号の「小樽市指定歴史的建造物」に指定された。正面玄関には大理石が用いられ、石の彫刻が施された重厚な外装が、いかにもレトロな建造物として独特の雰囲気を醸し出している。内部は1階が事務室、2階は大会議室やテナントスペースとして用いられていた。延床面積は1,370u。1階敷地面積だけでも200坪ある。
この建物が土地付きで2,500万円。平均的なマンション価格で、歴史的建造物が買える計算になる。ただ外壁には傷みも出てきているため、現在はネットで剥脱をカバーしている状況だ。
古い建物を維持するには確かに莫大な費用は掛かるが、昭和初期の貴重な建物を無残に取り壊してしまうのも忍びない。かつての建設技術、文化、そして時間は、決してお金では買えない価値がある。同物件に興味、関心のある方はぜひ小樽商工会議所(0134−22−1177)までご連絡を。